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幼少期から大人まで続く“愛のかたち”:愛着理論

心理
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 人はなぜ、自然に誰かを好きになり、愛情を育もうとします。それは、恋人との関係、家族との絆、友人との信頼などいろいろです。また、人は誰かを信じ、愛し、支え合うことで生きています。その「愛し方」や「人との距離感」は、実は幼少期の経験に大きく影響されているようです。そして、心理学では「愛着スタイル」と呼ばれる考え方があります。また、子どもの頃に親や養育者との関わりが、大人になった時の恋愛や友情、家族関係にもつながっていきます。

 そして、今回幼少期その後、大人になっての人生に分けて、愛着スタイルを調べました。年代によって愛着がどのように形づくられるのかを説明します。そして、その根底には「愛着理論」と呼ばれる心理学的な考え方があります。愛は単なる感情ではなく、行動や関係性の中で形づくられるものです。心理学の視点から見つめ直すと、日常の人間関係にも新しい発見があるかもしれません。

 このブログでは、愛着理論について、人間関係、特に幼少期の親子関係が、その後の人生の人間関係や感情にどのように影響を与えるかについて説明しています。

愛着理論(Attachment Theory)とは?

 愛着理論は、ジョン・ボウルビィ メアリー・エインズワースによって確立されました。

安全基地(Secure Base)の重要性

 愛着理論の最も重要な考え方は、「人間は生き残るために、特定の他者(主に養育者)と情緒的な絆を結ぼうとする本能的な欲求を持っている」というものです。

  • 愛着(Attachment): 乳幼児が養育者に対して抱くものです。それは、安心感保護を求める強い情緒的な絆のことです。
  • 安全基地(Secure Base): 子どもが、安全で信頼できる場所(主に養育者)のことです。つまり、不安な時や探求活動を行う時に、いつでも戻ってきて心の充電ができる場所です。

幼少期の愛着スタイル:エインズワースの実験

 エインズワースは、ストレンジ・シチュエーション法という実験を行いました。また、実験結果から、愛着のパターンを分類しました。そして、幼少期の養育者との関わり方を調べるました。そして、主に3つの愛着スタイルが形成されることが分かりました。

愛着スタイル養育者との関係性特徴(再会時)
安定型愛着 (Secure)養育者は要求に一貫して応答する。離れると動揺するが、再会するとすぐに喜び、落ち着くことができる。
不安型愛着 (Anxious-Ambivalent)養育者の応答が一貫せず、不安定離れると激しく動揺する。再会してもくっつきたいと同時に抵抗し、落ち着きにくい。
回避型愛着 (Avoidant)養育者は要求に対して拒否的、無関心離れても動揺が少ない。再会しても養育者を無視し、近づこうとしない。

幼少期以降:混乱型の追加

 上記の3つの愛着スタイルに加え、養育者からの虐待などで生じる混乱型が提唱されています。そして、現在は主に4つの愛着スタイルで議論されることが多くなっています。

 混乱型は、1980年代にメアリー・メインとジュディス・ソロモンによって提唱されました。これは、従来の3分類では説明できない、矛盾した行動を示す子どもたちのパターンを分類するために追加されました。

形成される背景:解決できないジレンマ

 このスタイルの根本的な原因は、子どもが安全を求める養育者自身が、同時に子ども恐怖の源という状況にあります。

  • 恐怖の源の例:
    • 養育者が子どもを虐待したり、ネグレクト(育児放棄)したりする場合です。
    • 養育者自身が精神的に不安定で、突然泣き出したり、無表情になったりするなどです。このような、予測不能な行動をとる場合に恐怖に感じます。
    • 養育者が未解決のトラウマを抱えています。そして、子どもの前で恐怖や苦痛を表現してしまう場合に恐怖を感じます。

 子どもは、危機的状況で助けを求めたい本能と近づくと怖い本能の間に挟まれます。そして、行動の選択肢を失って混乱します。

行動の特徴:矛盾とフリーズ

 混乱型の子どもが示す行動は、特定の状況で一貫性がなく、奇妙に見えることが特徴です。特に、養育者と再会した時の行動に顕著に現れます。(ストレンジ・シチュエーション法での観察)

  • 矛盾した行動:
    • 養育者の方へ歩み寄ったかと思えば、突然背を向けて逃げます。
    • 親密な関わりを求める一方で、手を振り払うます。あるいは、泣きながら壁に向かっていくなど、方向性のない行動をとります。
  • フリーズ(固まる): 養育者に対して恐怖を感じます。どう行動していいか分からず、その場に立ち尽くしたり、動きが止まったりします。
  • 役割の逆転: ときには、子どもが親を慰めようとするなどをします。親子の役割が逆転した行動が見られることもあります。

長期的な影響:大人の「恐れ・回避型」へ

 幼少期の混乱型愛着を持つ人は、成人後対人関係で恐れ・回避型愛着が多いとされています。

  • 親密な関係を最も強く求める一方で、親密さによって最も傷つくことを知っています。そして、関係を築こうとして壊すという不安定なパターンを繰り返す傾向があります。

 混乱型愛着は、他よりも精神的な健康問題や人間関係の困難さになる可能性が高いとされています。そして、愛着理論の中でも特に注目されている分野になります。

大人になってからの愛着スタイル

 幼少期に形成されたこの愛着スタイルが、成人後の恋愛関係、友情、仕事などのすべての人間関係に影響を与えるとされています。この概念を成人愛着スタイル(Adult Attachment Styles)と呼びます。

成人愛着スタイル人間関係における傾向着眼点
安定型 (Secure)自分も他者も信頼できます。親密さを求め、自立もできます。理想的な関係」を築く人の考え方です。
不安型 (Anxious)相手との親密さを強く求めます。そして、見捨てられることを極度に恐れます。依存的になりやすいです。恋愛依存」や「かまってちゃん」の背景になります。
回避型 (Avoidant)親密さを避け、自立を重視します。感情を表現するのが苦手で、距離を置きたがりますクールに見える人」や「結婚を避ける人」の心理です。
恐れ・回避型 (Fearful-Avoidant)親密さを求めます。しかし、同時に傷つくことを恐れ、近づいたり離れたりを繰り返します複雑な関係」や「ジェットコースターのような恋愛」の原因になります。

まとめ

 ここまで愛着理論について、人間関係、特に幼少期の親子関係、その後の人生の人間関係や感情にどのように影響を与えるかについて説明しました。まず、愛着理論について、安全基地の重要性幼少期の愛着スタイルをエインズワースの実験、幼少期以降の混乱型の追加から説明しました。大人になってからの愛着スタイルについても説明しました。

 自分の愛着スタイルを知ることが、人間関係の改善の第一歩であるような気がします。また、愛着スタイルは変わることが可能のようです。そして、安定型を目指すための具体的な行動をするために自己認識、安心できる関係の構築などをすることが必要なように思えます。しかし、成人の愛着スタイルが5つあるのですが、きれいに分かれてはいないような気がします。例えば、不安型と回避型の混合、そして、2つの割合も人によって異なるように思えます。ただし、一番多く含まれている愛着スタイルはわかるような気がします。そして、安定型が、自分も他人も信頼でき、親密さを求め自立もできるので理想とされるのは理解できます。自分のスタイルを理解し、目指すスタイルにどう変えていくかが難しいと思われます。

 

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