謝ってくれているのに、なぜか余計に腹が立つ。このようなことがありました。そして、そんな矛盾した気持ちを抱いた経験は、多くの人にあるようです。また、本来、謝罪は関係を修復するための行為です。しかし、それなのに謝られた瞬間にイライラが増したりします。加えて、「なんか違う」とモヤモヤしたりすることもあります。
そこで、なぜ“謝罪”という行為が、逆に怒りを刺激してしまうかという疑問が浮かびます。また、何がそのような気持ちにするかについて調べることにしました。そして、今回、その要因である以下の4つについて心理学、脳科学の視点から調べました。
- 謝罪が“責任逃れ”に聞こえる心理
- 形だけの謝罪が怒りを増幅させる理由
- 謝罪が「感情を無視している」と感じる瞬間
- 人が本当に求めている“理解と共感”の重要性
このブログでは、謝られているのに腹が立つことについて、これらの内容を心理学的要因について、そして、脳科学との関係について調べましたの以下に説明します。
謝罪されているのに腹が立つ心理的要因
謝罪が“責任の押し付け”に聞こえるとき
本来、謝罪の言葉は「自分の非を認める行為」です。しかし、受け取る側が「自分の非を認める行為」として受け取れず、以下のように感じることがあります。
- 「はいはい、謝ればいいんでしょ」
- 「とりあえず言ってるだけでしょ」
- 「謝って終わらせたいだけじゃない?」
つまり、謝罪が“逃げ”に見えると怒りが増幅することがあります。特に、相手がまだ怒っている最中に「ごめん」と言われ時などです。そして、その時、「話を終わらせようとしている」と感じやすくなります。それは、“意図”よりも、受け取る側の“感情の状態”が強く影響するからです。
謝罪が“形だけ”だと感じるとき
謝罪の言葉そのものより、「どれだけ本気で言っているか」が重要になります。それは、人は言葉よりも、非言語情報を強く読み取ることがあるからです。例えば、声のトーン、表情、態度、目線などの非言語情報です。
そして、これらが伴っていないと、「口だけの謝罪」に聞こえて、逆に腹が立ってしまいます。たとえば、スマホを見ながら「ごめんね」と言わたとします。このような状況では、言葉の意味よりも態度のほうが強く伝わることになってしまいます。
謝罪が“自分の感情を無視している”と感じるとき
謝罪の前に必要なのは、相手の感情の理解と共感になります。しかし、多くの謝罪は、悪かったよ、ごめんって言ってるじゃん、そんな怒ること?のようになりがちです。
そして、これらは、相手の感情を受け止めていないことになります。そのため、「私の気持ちをわかっていない」と感じさせることになります。そして、結果として、謝罪の言葉が逆に怒りを刺激してしまいます。
人は「謝罪の言葉」ではなく「理解と共感」を求めている
本質は「理解と共感」にあります。つまり、人が本当に求めているのは、次のような“心の回復”させるような言葉です。例えば、あなたが傷ついたことを理解している、その気持ちはもっともだと思う、そのうえで謝りたいなどです。つまり、謝罪の言葉そのものより、「自分の感情が理解された」という感覚が怒りを鎮めることです。そして、つぎのように謝罪は“順番”が大事になります。そして、この順番を飛ばすと、謝罪は逆効果になります。
- 共感(あなたの気持ちはわかる)
- 理解(こういう状況だったよね)
- 謝罪(そのうえでごめん)
「謝られると逆に腹が立つ」──脳では何が起きているのか
扁桃体:謝罪は“危険信号”として処理されることがある
扁桃体は、脳の“警戒アラーム”です。そして、否定・攻撃・不公平などに敏感に反応します。そのため、謝罪を受けたとき、扁桃体は次のように解釈することがあります。例えば、自分が悪いと言われた、責められている、立場を脅かされたなどです。
たとえ、相手が誠実に謝っていても、扁桃体は「自分への脅威」として反応します。そして、怒りを引き起こします。つまり、謝罪は“和解の言葉”であると同時に、脳にとっては“自己否定の刺激”にもなり得ます。
前頭前皮質:感情が高ぶると論理が働かなくなる
前頭前皮質は、論理的思考や冷静な判断を司る領域です。しかし、扁桃体が刺激されて感情が動くと、前頭前皮質の働きが弱まります。そして、謝ってくれた、誠意があるのような論理的な評価ができなくなります。
そのため、怒りの感情が優先されるようになります。つまり、謝罪の“内容”よりも、その瞬間の感情状態が脳の反応を決めてしまうことになります。
自尊心ネットワーク(内側前頭前皮質・前帯状皮質):謝罪は“自分の価値”を揺さぶる
また、謝罪を受けて、自分が傷ついた、自分が被害者だったことを再確認することもあります。そして、脳の自尊心ネットワークはこれを敏感に察知します。つまり、自分は軽く扱われた、尊重されていなかったような感覚を強めてしまいます。そのため、謝罪を受けることで逆に自尊心が刺激され、怒りが増すことがあります。
島皮質:謝罪は“痛み”として感じられることがある
島皮質は、身体的な痛みだけでなく、心理的な痛み(恥・屈辱・後悔)にも反応する領域です。そして、そのため謝罪を受けると、以下のような感覚や気持ちになることがあります。
- 過去の嫌な感情が再生される
- 傷ついた記憶がよみがえる
- 不快な出来事が再び“痛み”として感じられる
つまり、謝罪は 脳にとって痛み刺激 になり得ることになります。そして、痛みを感じれば、当然怒りが湧きやすくなります。
ミラーニューロン:相手の“本気度”を読み取る装置
ミラーニューロンは、相手の表情・声のトーン・態度から“本気度”や“誠意”を読み取る仕組みです。そして、目が合わない、声が軽い、態度がそっけないなどの非言語情報が誠実さを欠いたとします。すると、ミラーニューロンはこの謝罪は本気じゃないと判断し、怒りを増幅させてしまいます。つまり、謝罪の“言葉”よりも、非言語情報が脳の反応を決めてしまいます。
内容の整理とまとめ
内容の整理
ここまでこのブログでは、謝られているのに腹が立つことについて、心理学的、脳科学的視点から説明しました。まず、心理学的から、謝罪が“責任逃れ”に聞こえる心理、形だけの謝罪が怒りを増幅させる理由、謝罪が「感情を無視している」と感じる瞬間、人が本当に求めている“理解と共感”の重要性について説明しました。次に、脳科学的視点から、扁桃体、前頭前皮質、自尊心ネットワーク(内側前頭前皮質・前帯状皮質)、島皮質、ミラーニューロンについて説明しました。
まず、謝罪は魔法の言葉ではありませんでした。むしろ、言い方やタイミングを間違えると、相手の怒りを強めてしまうことすらありました。そして、以下の点について注意する必要がありました。
- 謝罪が“逃げ”に見えると怒りが増す
- 形だけの謝罪は逆効果
- 感情を無視した謝罪は火に油
- 人が求めているのは「理解と共感」
また、脳機能の観点で整理すると以下のように謝罪が怒りを生むのは自然な反応になります。
- 扁桃体:謝罪を“攻撃”として処理する
- 前頭前皮質:感情が高ぶると論理が働かない
- 自尊心ネットワーク:謝罪が自己価値を揺さぶる
- 島皮質:過去の痛みが再生される
- ミラーニューロン:非言語情報から“誠意”を判断する
まとめ
謝罪は脳にとって「自分の価値・感情・記憶」を揺さぶる強い刺激でした。だからこそ、謝られた瞬間に怒りが湧くのは、人間の脳の構造から見ても自然な反応になります。そのため、謝罪とは「言葉」ではなく、相手の心を回復させるプロセスということになります。また、前回のブログ「なぜ正論は人を動かせないのか:感情のメカニズムを読み解く 」を書きました。そこでも「共感」がカギになっていました。ということは、謝罪にしても正論にしても相手に伝えるのには、共感する部分でのコミュニケーションが重要な感じがしました。

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