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AIに仕事が奪われる・・・奪われるの?

人工知能
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 2015年に野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究がありました。それは、「AIの導入によって日本の労働人口の約49%の仕事が10~20年以内に代替可能」というものでした。しかし、ネットには、”AIの普及でなくなる仕事10選”など不安を煽るような記事が多く見られます。また、2023年のACジャパンの広告「白紙の将来」では次のようなものでした。まず、少女の声で「私の未来は・・・」が繰り返されます。そして、「近い将来、今ある仕事の約49%の仕事がAIやロボットに担えるようになる予測がある」と続きます。これだけ聞くとものすごく不安になります。

野村総研、オックスフォード大学のレポート

 タイトルは、「日本の労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能に」でした。また、その中のには、「日本の労働人口の約49%が、技術的に人工知能等で代替可能に」とありました。ここで注目するのは、「代替可能」という言葉です。代替可能は、置き換えることができると捉えるべきです。「日本の労働人口の約49%」というのも相当インパクトがあります。この部分は、「日本の労働人口の約49%」の職種が代替可能という意味であると思われます。

 すべてが置き換わると捉えられると恐ろしいことになります。つまり、これがネットの記事のタイトルになっています。以下のようなものがありました。記事のタイトルからするとインパクトはありますが、不安を煽ります。しかも、「置き換わる」が「なくなる」、「消える」に変わっています。

  • AIで49%の仕事がなくなる」から7年
  • AIの普及でなくなる仕事10選
  • 消えない職業とは?|49%の仕事がAIに取って代わられる可能性がある
  • AIの進化により消える仕事と残る仕事の完全ガイド
  • AIによって仕事はなくなる?奪われる仕事・影響を受けにくい仕事など予想を紹介

レポートから10年

 ブログを書いている時点で、レポートが発行されて10年経過しています。しかし、そんなに大幅に取って代わっている感覚はありません。しかし、いろいろな場面でAIやロボットの導入が進んでいるという認識があります。また、「DX」や「SDGs」という言葉が広まっています。これによりさらにAIやロボットの導入が進んでいっているようです。AIが導入された製品や装置は、直接「目」でみて秋書かではありません。広く浸透していっているイメージがあります。また、工場での自動化、ドローンによる配送など大きく進んできている部分もあります。

DX化

 2018年に経済産業省がDXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を発表しました。これにより、日本でDXが本格的に議論されるようになりました。DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセス、組織文化などを根本的に変革する。そして、競争上の優位性を確立する取り組みのことです。単にデジタル技術を導入するだけでなく、企業全体の変革を目指す点が特徴です。この中にAIの活用も一部含まれています。

大企業と中小企業

 DX化は、比較的大企業が早く取り組んでいる傾向があります。また、中小企業でも事業分野によってDX化しやすい、難しいがあります。また、過去の財産があるなし、取引に関係している会社のDX化に依存するか、依存しないかによってもDX化への難易度が異なります。

 大企業は、DX化に投資する事ができるヒト・モノ・カネがあります。「ある」という言葉には語弊があるかもしれません。投資しただけの効率化による効果が得られることがあるという意味です。これに対して、中小企業では、全体の規模が大企業に比べ小さいので投資しても得られる効果が大きくはなりにくいのが現状です。また、過去の財産、例えば、紙の図面や文書などの電子化作業などは、現業とは別の仕事になります。そのため、人員の限られ余裕のない中小企業には着手しづらいという一面もあります。また、関係している会社が紙でしか受け付けない等の場合もDX化が進みにくいことになります。

AMAZONの倉庫

 大企業の一例としてAMAZONの例を示します。アマゾンのネットサイトの裏でAIが大々的に活用されているのは知られています。これに加えて、アマゾンの倉庫のAIロボットを利用した自動化も有名です。物流倉庫の自動化と言えば、ベルトコンベアでの商品の移動でした。しかし、現状はそんなレベルに留まっていない進化をしています。

 最近のAMAZON倉庫では、特に、AIロボットの導入が進んでいます。それは、主に商品の棚入れ、棚出し、搬送を自動化するために導入されています。これらのロボットは、人の作業をサポートし、作業効率と安全性の向上に貢献しています。具体的には、棚を運ぶロボットや、商品をピッキングするロボットなど、様々な種類のロボットが活用されています。 Amazonの倉庫で導入されているロボットは、大きく分けて以下の3つの役割を担っています。

ロボットの3つの役割

  •  商品の搬送:
    • Drive(ドライブ)と呼ばれる移動ロボット:商品が載った棚(ポッド)の下に潜り込み、棚ごと移動させます。これにより、作業員が歩く距離を減らし、作業効率を向上させます。
    • Proteus(プロテウス)と呼ばれる完全自律走行型搬送ロボット:倉庫内を縦横無尽に移動し、人の動きを遮ることなく、荷物やカートを運びます。
  • 商品のピッキング:
    • Sparrow(スパロー)と呼ばれるロボット:箱に入れる前の商品を認識して掴み、仕分けることができます。
    • Vulcan(バルカン)と呼ばれるロボット:2本腕で、物体との接触を力覚センサーで検知します。このロボットで、片方の腕で商品を並び替え、もう片方の腕で商品を掴むことができます。
    • Cardinal(カーディナル)と呼ばれるロボット:ベルトコンベアに流れてくる荷物を識別し、掴んで「Pegasus(ペガサス)」と呼ばれる荷物入れに預けます。
  • その他:
    • Robin(ロビン)と呼ばれるロボット:ベルトコンベアから荷物を受け取ります。そして、次の工程に運びます。
    • セコイア:商品の出し入れ作業を効率化するロボットシステムです。これは、ガントリーは既存のポッドを運ぶドライブが流用できるようになっています。

まとめ:AMZONの倉庫

 これらのロボットは、AIや画像認識技術を活用し、人間の作業員と協働しながら、より効率的で安全な倉庫運営を可能にしています。また、Amazonはこれらのロボット技術を「Amazon Robotics」と総称し、自社だけでなく、他の企業にも提供しています。 さらに、Amazonは二足歩行ロボット「ディジット」の研究開発も進めており、将来的には人間の作業員とより密接に連携するロボットの導入も期待されています。

生成AI、ドローン等の登場

 2015年のレポート発行時には、生成AIやドローンが登場し普及されるとは想定されていなかった可能性があります。ドローンについては、当時のロボットの拡大解釈に該当すると良いように解釈します。生成AIでは、テキスト、画像・イラスト、音声・音楽、動画、プログラミングコードなどの生成ができる。

 2015年のレポートには、人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業が書かれています。ここには、アナウンサー、グラフィックデザイナー、コピーライター、作詞家、作曲家、ミュージシャンなども含まれています。これらの機能の少しは、生成AIは実現できるものになっています。

現在、そして、将来

 DX化や生成AIの登場などで仕事のAI化は徐々に進んでいます。そして、これはAMZONなどの導入メリットの大きい大企業から進んでいます。ロボットなどの導入により、省力化だけでなく、処理能力の向上も実現しています。これだけを捉えると、ロボットやAIに仕事奪われると捉える人がいるかも知れません。しかしながら、日本は少子高齢化と人口減少で労働人口が減少しているという一面があります。つまり、人が足りなくなっていっているということです。

少子高齢化と人口減少 

 日本が直面している深刻な社会問題に少子高齢化と人口減少があります。少子化の出生率の低下と高齢化により、総人口が減少しています。これにより、平均寿命の延伸と高齢者の割合が増加します。この二つは相互に関連し、社会全体に様々な影響を及ぼしています。大きな問題に、生産年齢人口(15~64歳)の減少による、労働力不足です。ロボット化された職場から徐々に人員のシフトがされても、それでも不足すると思われます。

子どもよりDXについていけない人

 ACジャパンの「白紙の未来」では子供の将来を憂うような内容になっていました。しかし、今の子供は、その時代に対応するような教育内容が学校に取り入れられます。そのため、今の子供はその時代の状況に多くの場合は順応できると考えられます。

 しかし、人生100年時代などと言われています。例えば、パソコンやスマートフォンに馴染めない現役の人の方が現在の子どもより仕事が奪われる可能性が高いと考えられます。少しづつではありますが、DX化や生成AI化が進み、現在のしごとが取って代わることになります。その時、AIなどに馴染めない人の方が仕事を奪われてしまうかもしれません。にとっては、AIがなじみにくいかもしれない。人口が減少しAIがその部分を穴埋めしても、それなりの働き手が必要になる可能性があり、AIになじめないと困る状況が出るかもしれない。

共存という考え方

 労働人口減少にロボットや生成AIを活用し、省力化、効率化するという一面があります。それに加えて、できなかったことを可能にする拡張という一面もあります。これまで水道管の検査はすべて人手でこなせる数も限られていた。ドローンやAI技術を使用した検査で、これまでこなせなかった検査数を実現できます。

 また、病院でのがんの映像からの検出などでも早く検査結果を出すことができるようになります。人手でやっていたことの補助的な使われ方がされています。また、ドローンが上空からカメラで米などの生育状況を確認するなどできなかったことをできるようにしています。今後も、自動車の自動運転が広く実用化されることなると思われます。そして、過疎の交通問題など多くの社会問題を解決できる用になる可能性があります。このように、AIやロボットと共存していくことになりそうです。

まとめ

 「AIが仕事を奪う」というネガティブな捉え方をしないほうが良いと思います。それは、現在の仕事でも処理しなければならない量が増えています。そして、労働人口も減少していきます。また、人にできることには限界があります。それを助けてもらうことができると考えたほうが良いと思います。また、現在人間にできないことを可能にしてくれると思います。このようなことから、AIに対してポジティブに捉えて方が良いと思います。

 また、生成AIを画像生成、映像生成、楽曲生成などで趣味の分野で利用されていくという意味でも助けてもらう、共存する意味はありそうな気がします。

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