いろいろな場面で話が通じなかったことあった気がします。具体的には、残念ながら。そんなに思い出せません。例えば、上司と部下のやり取りがあります。上司が「この件、早めにやっといて」と指示を出しました。そして、部下は、「はい、承知しました!」と回答しました。しかし、数日後、上司から部下に「まだ終わってないのか?」という確認があります。ここでは、『早め』の感覚に違いによる食い違いが発生したものです。また、悩みがあると相談を受けた場合の食い違いです。相談に対して、「それなら、こうすればいいんじゃない?」と回答しました。しかし、その相手がだた話を聞いてもらいたいだっただけということもあります。そして、本当に助言を求められている時もあります。
このように、「なぜ、同じ言葉を使っているのに、違う意味で受け取ってしまうのだろうか?」という疑問が浮かびます。そこで、今回、このすれ違いを生む要因について調べました。以下この心理メカニズムについて説明します。
すれ違いを生む心理メカニズム
知識の呪い(Curse of Knowledge):知っているがゆえのすれ違い
自分が知っている情報や前提知識を、相手も同じように知っていると思い込んでしまう心理です。つまり、専門家が初心者に対して、専門用語を多用して話すケースなどがこれに該当します。
- 具体例:
- 仕事の引継ぎ:自分が長年担当してきた仕事を、新しい担当者に指示する際の例です。「このデータ、いつもの場所に保存しておいて」とだけ伝えてしまうことです。しかし、新しい担当者には「いつもの場所」を教えてもらっていないのでどこかわからないというものです。
- 夫婦の会話:夫が妻に「あの時の話だよ」としか言わない場合です。しかし、妻はどの「あの時」か分からず困惑ってしまいます。これは、夫は自分の中では明確な記憶でも、妻には共有されていないことから生じています。
理由:知識の呪いによって、話し手は情報の一部を省略してしまう場合に起きます。省略されている部分があるため、聞き手は全体像を理解できず、コミュニケーションが成立しなくなります。
非言語コミュニケーションの欠如:言葉にならない「思い」のズレ
コミュニケーションは言葉だけでなく、表情、声のトーン、身振り手振りといった非言語的な情報も重要です。そして、非言語情報が欠如したり、誤って解釈されたりすることで、言葉だけでは伝わらないニュアンスが失われ、すれ違いが生じることがあります。
- 具体例:
- オンライン会議:オンライン会議では表情や身振りが伝わりにくい状態です。そこで、冗談のつもりの言葉が、相手に「冷たい人だ」と受け取られることがあります。
- LINEのメッセージ:絵文字やスタンプがないシンプルな文章は、相手の感情を読み取ることが難しく、冷たく感じてしまうことがあります。また、「了解」という一言も、受け取り手によって印象が変わことがあります。
- 声のトーン:同じ「はい」という返事でも、元気な声とやる気のない声では、相手に与える印象が全く異なります。
理由:非言語情報が欠如すると、言葉の裏に隠された意図や感情が伝わらない場合があります。そのような時には、メッセージが一方的に解釈されてしまうからことによります。
聴く姿勢の違い:本当に相手の話を聞いているか?
多くの人は「話すこと」に意識が向きがちで、「聴くこと」を疎かにしがちです。そして、「自分の意見を言いたい」という気持ちが先行すると、相手の話を最後まで聞かずに、途中で遮ってしまったり、自分の話にすり替えたりすることがあります。
- 具体例:
- 相談に乗る時:相手がただ話を聞いてほしいだけです。それなのに、「私はこう思う」「それならこうすればいい」とアドバイスばかりされてしまいます。
- 議論中:相手の意見を聞き終わらないうちに、反論する準備を始めてしまう。
- あいづち:ただ「うん、うん」と相槌を打つだけで、相手の話の核心を理解しようとしていない。
理由:相手の話をしっかり聴いていないと、相手の本当の意図や感情を理解できません。結果として、的外れな返答やアドバイスをしてしまい、「この人には話しても通じない」と思われてしまいます。
話が通じさせるために
- 「相手は知らない」前提で話す:専門用語や前提知識は丁寧に説明する。
- 「非言語」を意識する:対面での会話では、表情や声のトーンを意識する。オンラインでのやり取りでは、絵文字やスタンプを効果的に使う。
- 「傾聴」を心がける:相手の話を最後まで聴き、相槌だけでなく「つまり、こういうことですか?」と要約して確認する。
まとめ
会話の「すれ違い」を生む要因として、自分が知っている情報の共有不足によるもの、非言語コミュニケーションの欠如によるもの、「聴くこと」を疎かにしていることによるものの3つについて説明しました。これらの要因でよくあると感じたのは、1つめ目と3つめ目です。1つめの、自分の知っている知識情報の共有不足は、よくあります。その部分知らない、聴いていないんですけどということがありました。話している方は何の疑問にも思っていないようでした。つぎに、3つめの人の話を聴いていないというのは感じることがあります。同じような人に多く見られるような気がしています。
また、過去のブログの『「わかりました!」をどうとらえるかの難しさ』、『なぜ人は「思い込み」に支配されるのか?』、『認知バイアスってなに?』に近い内容が書かれているので参照してみてください。
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