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【認知バイアス】なぜ陰謀論は魅力的に見えるのか?人が「世界の裏側」を信じる心理学

心理
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 「まさかあの人が…」と思うような知識人や、身近な友人・家族が、ある日突然、根拠の薄い「世界の陰謀」を熱っぽく語り出す。そんな経験はありませんか? また、テレビのドラマなどでもそれらしく扱われることもあります。

 また、世間では「騙されやすい人が信じるもの」と思われがちな陰謀論です。しかし、心理学的には、人間の脳にとって非常に魅力的で、抗いがたい中毒性を持っています。つまり、条件さえ揃えば「誰でもハマる可能性」があるのです。では、なぜ陰謀論はこれほどまでに私たちを惹きつけるのでしょうか?

 このブログでは、まず、陰謀論が魅力的に見えてしまう「3つの心理的要因」について説明します。そして、魅力を感じしてしまう際の脳の動き、そうならないための対策について調べましたので以下に説明します。そして、脳のメカニズムを知り、怪しい情報に振り回されないようになることを目指しています。

脳が抗えない。陰謀論が「強烈に魅力的に見える」3つの心理的理由

 人が陰謀論に惹かれる背景には、知性の高低ではありません。そこには、人間の心が持つ「3つの根源的な欲求」が関係しています。まず、その3つの根源的な欲求について以下に説明します。

1. 複雑な世界をシンプルに理解したい(パターン認識のバグ)

 世界で起きる大事件(パンデミック、戦争など)は、無数の偶然や複雑な要因が絡み合っています。しかし、人間の脳は「偶然」や「複雑さ」を受け入れるのが苦手です。そこで、「裏で糸を引いている悪い組織が1つある」という陰謀論が現れます。また、陰謀論は、複雑な世界を一瞬でシンプルに説明するので、脳にとって非常に心地よいものです。

2. 「自分は世界の真実を知っている」という万能感(優越感の欲求)

 「大衆はメディアに騙されているが、自分だけは世界の真実を見抜いている」という感覚があります。そして、この感覚は強烈な快感(自己肯定感の向上)をもたらします。特に、現実世界で強い無力感やストレスを抱えている人ほどより強い快感を覚えます。そして、この「選ばれし者」になれる感覚に魅了されやすくなります。

3. 孤独を埋めてくれる「味方」の存在(所属欲求)

 ネット上の陰謀論コミュニティは、同じ秘密を共有する「仲間」として強い結束力を持ちます。そこで、「孤立しているのは自分が悪いのではなく、社会が狂っているからだ」と肯定し合える空間ができます。また、そこは孤独な現代人にとって強力な居場所(サードプレイス)になってしまいます。

陰謀論の罠にハマりやすい人の特徴と、3つの「心理バイアス」

 陰謀論の魅力に取り込まれやすいときがあります。そして、そのような時には、私たちの脳内では以下のような認知バイアスが働いています。

働くバイアス具体的な現象脳が受ける印象
比例バイアス「重大な結果には、それに匹敵する重大な原因があるはずだ」と思い込みます。偶然の事故のはずがない、陰謀だ!
確証バイアス自分の仮説(陰謀論)に都合の良い情報ばかりを集め、反証を無視します。ほら、調べれば調べるほど証拠が出てくる!
比例バイアス+感情不安や恐怖を感じている時ほど、因果関係を無理やり作ろうとします。理由がわかって安心した(錯覚)。

陰謀論の魅力に取り込まれていく脳の動き

陰謀論にハッキングされる脳の3ステップ

 脳が陰謀論に出会い、魅了され、完全に抜け出せなくなるようになります。そして、それまでには、以下のような3つのステップ(脳の変化)を辿ります。

ステップ1:脳の「エラー警報」を一瞬で消し去る(不快の解消)

 大きな災害、パンデミック、不況など、個人ではコントロールできない事態に直面します。まず、脳の「扁桃体」という不安を司る部分が激しく興奮します。なお、脳にとって「原因が分からない恐怖」や「偶然の不条理」は、耐え難いストレス(エラー状態)です。

 そして、そこに「実は裏で世界を操る組織の陰謀である」という明快な説明が入ってきます。すると、脳の「前頭葉」は複雑な思考を放棄し、「原因が分かった!」と解釈してしまいます。そこで、これにより扁桃体のエラー警報がピタッと止まり、脳は強烈な安心感を得ます。なお、安心感が得られるのは、ストレスからの解放されたことによります。まず、これが最初の罠です。

ステップ2:アハ体験による「ドーパミン」の大量分泌(快感の獲得)

 陰謀論を信じ始めると、すべての出来事が1つの陰謀に結びつく感覚を何度も体験します。そこで、脳は「隠された法則を見つけた!」と勘違いをしてしまいます。その時、アハ体験(ひらめき)を起こして、快感物質である「ドーパミン」を過剰に分泌します。

 さらに、「大衆は騙されているが、自分だけは真実を知っている」という優越感が得られます。そして、脳の「報酬系(側坐核など)」が激しく刺激されます。なお、この快感はギャンブルや依存症に近いものです。そして、脳は「もっとこの快感が欲しい(もっと陰謀の証拠を探したい)」と渇望するようになります。

ステップ3:「確証バイアス」による脳内回路の固定化(暴走と固定)

 ドーパミンの快感に味を占めた脳は、次第にシステムそのものを書き換えてしまいます。つまり、自分の信じる説を補強する情報だけを快感として受け入れるようになります。そして、矛盾するデータを「敵の工作だ」「洗脳された大衆の意見だ」と拒絶するようになります。(確証バイアスの暴走

 脳には「よく使う神経回路を強化し、使わない回路を削る(シナプス可塑性)」という性質があります。そこで、「世界=陰謀」というフィルターで物事を見る回路ばかりが使われます。すると、客観的・多角的に物事を考える前頭葉の回路が使われず錆びついてしまいます。そして、最終的には「それ以外の考え方ができない脳」へと固定化されてしまいます。

陰謀論に染まる脳の「エラー状態」まとめ

脳内のエリア・物質陰謀論に出会ったときの動き読者が受ける主観的な感覚
扁桃体(不安のセンサー)不条理な現実への恐怖でパニックを起こすが、陰謀論の「犯人特定」によって興奮が収まります。「ずっとモヤモヤしていた謎が解けて、すっきりした!」
ドーパミン(快感ホルモン)「世界の秘密を見つけた」という錯覚(アハ体験)により、大量に分泌されます。「真実に気づいた自分は特別だ」という強烈な高揚感とワクワク感。
前頭葉(理性のコントロール)複雑な現実を考えるストレスから逃げ、シンプルな陰謀のシナリオに思考を丸投げします。自分の考えを疑う気力がなくなり、盲信状態になります。

怪しい情報から身を守り、客観性を保つための処方箋

 陰謀論の魅力的な罠から距離を置き、フラットな視点を持ち客観性を保つためのステップです。

「感情を揺さぶる情報」に出会ったら、あえて立ち止まる

 「怒り」や「恐怖」を煽るタイトルを見たときは、脳がハッキングされかけているサインです。そのため、すぐにシェアせず、一晩置くなど立ち止まるようにします。

「逆の証拠」を探す癖をつける

 その説が正しい証拠を探すことをしないようにします。まず、「それが間違っているというデータはあるか?」とあえて逆の視点を探すようにします。そして、このようにすることを習慣化することで、確証バイアスを防ぎます。

一次情報(ソース)を確認する

 「〇〇大学の教授が言っていた(らしい)」「海外の極秘文書によると」など伝聞を信じないようにします。つまり、信頼できる公的機関や学術的な一次データを直接調べる癖をつけます。

まとめ

 ここまで、陰謀論が魅力的に見えてしまう「3つの心理的要因」、魅力を感じしてしまう際の脳の動き、そうならないための対策について説明しました。まず、要因について、パターン認識のバグ優越感の欲求所属欲求について説明しました。次に、働く3つの心理バイアスについて、比例バイアス確証バイアス比例バイアス+感情を説明しました。続いて、陰謀論の魅力に取り込まれていく脳の動きについて、不快の解消快感の獲得暴走と固定という3つのステップを説明しました。最後に、対応策について、あえて立ち止まる「逆の証拠」を探す癖をつける一次情報を確認するを説明しました。

 まず、陰謀論が魅力的に見えるのは、あなたの心が弱いからでも、信じている人が愚かだからでもありませんでした。脳が『ドーパミンの誘惑』と『安心したい欲求』にハッキングされた結果でした。つまり、「誰の脳でも起こりうるバグ」でした。

 そして、「世界の裏側」を探すエネルギーを、「自分の脳のクセ」を見抜く楽しさに変えてみるという視点もあります。つまり、情報が溢れる現代だからこそ、一歩引いて世界を眺める「メタ認知」の視点を楽むということができるような気がしました。

 

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