「自分らしさがわからない」「本当の自分を探したい」がよくテレビで取り上げられています。そして、「自分らしさがわからない」と悩んでいるところが映されたりしています。また、自分には職場の自分、友達といる時の自分などがあります。そして、家で一人でいる時の自分などいろいろな自分があります。私の場合は、「自分」がどういう人間と言われると長所、短所など特徴を説明するすることはできます。しかし、「自分らしさ」と言われると何だろうと考えてしまいます。そして、「自分探しの旅」という言葉まで聞いたことがあります。
また、自分らしさがわからない要因に、SNSに溢れるキラキラした個性が影響している気がします。そこで、キラキラを見てかえって焦りを感じてしまう人は少なくないような気がします。そして、私たちは「本当の自分」という確固たる正解が、体のどこかに埋まっていると考えがちです。しかし、私たちが必死に探している「本当の自分」という正解は、実はどこにも隠されていないとしたらどうでしょうか。そして、心理学や脳科学の視点から見れば、自分らしさは「探すもの」ではないようです。つまり、脳が記憶や関係性の中から絶えず「作り出しているもの」のようです。
このブログでは、自分らしさの正体を解き明かし、もっと楽に、もっと自由に「自分」という物語を編集していくためのヒントをお届けすることを目指します。そのために「自分らしさ」がどのようなものかについて、自分をとらえる脳の仕組みについて調べましたので以下に説明します。
心理学的自分らしさ
自己同一性(アイデンティティ):時間の連続性
エリクソンという心理学者が提唱した概念があります。それは、「時代や環境が変わっても、自分は自分である」という感覚です。
- 「過去・現在・未来」の統合: 子どもの頃の自分、今の自分、そして将来の自分があります。そして、これらがバラバラではなく、「一本の線で繋がっている」と感じられます。すると、人はアイデンティティを感じます。
- 一貫性への欲求: 脳は「昨日の自分と今日の自分が別人である」という状態を非常に不安に感じます。そのため、無意識のうちに自分の行動や考え方に一貫性(意味)を持たせようとします。
自己概念:自分が思う「自分という人間」のイメージ
心理学では、自分が自分に対して持っている知識や評価のセットを「自己概念」と呼びます。そして、これには以下の2つの側面があります。
- 客観的な自己: 「私はエンジニアである」「私はギターが弾ける」といった事実があります。
- 主観的な自己: 「自分は粘り強い人間だ」「自分は変化を好むタイプだ」といった、自分の性格や価値観に対する解釈があります。
そこで、この「自分はこういう人間だ」という思い込みが、あなたの言動を決定します。そして、結果として周りから「あなたらしいね」と認識されるようになります。
分人(ペルソナ):相手との関係で作られる自分
「本当の自分は一つ」と考えがちです。しかし、心理学的には「相手の数だけ自分がいる」という考え方が有力です。
- 多面的な自己: 親と一緒にいる時の自分、仕事仲間の前での自分、恋人の前での自分がいます。しかし、これらはどれも「偽物」ではなく、特定の環境に最適化された「自分」です。
- 関係性の中の「らしさ」: 心理学者のウィリアム・ジェームズという人がいます。彼は「人間には、関わりのある人の数だけ社会的自己が存在する」と述べました。そのため、自分らしさとは、これら複数の自分を統合したようなものだと言えます。
「昨日の自分」を繋ぎ止める脳の仕組み
私たちは毎朝、どうやって「自分」を思い出しているのかについて説明します。
- 記憶のパッチワーク: 脳の「海馬」と「前頭前野」が、断片的な過去の記憶を繋ぎ合わせます。そして、「私はこういう人間だ」という一貫性を保っています。これを「自己連続性」と呼びます。
- DMN(デフォルト・モード・ネットワーク): ぼーっとしている時ほど、脳は「自分についての情報」を整理・統合しています。自分らしさとは、脳がアイドリング中に一生懸命メンテナンスしている「維持活動」そのものなのです。
「多面的な自分」こそが健全である
「人前で自分を作ってしまう」のは、嘘つきなのでしょうか?
- 「分人(ディビジュアル)」という考え方: 心理学的なペルソナ(仮面)の概念があります。対人関係ごとに異なる自分が現れるのは、脳の高度な社会適応能力であり、その「バリエーションの総和」があなたです。
なお、ペルソナとは人間が社会生活を送る上で使い分ける外的側面や仮面(役割)のことです。 - 一貫性の罠: 「常に一定の自分」であろうとすると、変化する環境に対応できず苦しくなります。つまり、「らしさ」とは固定された点ではなく、揺れ動く範囲のことです。
「自分らしさ」は選択の履歴書
どこかに探しに行くのではなく、足元に積み上がっているものに注目します。
- 自由意思と選択: 今日何を読み、何を信じ、誰に言葉をかけたか。その無数の「選択の偏り(クセ)」が、結果として後から「自分らしさ」として観察されるようになります。
- 解釈による自己創造: 起きた出来事に対して、どう「意味付け」をするか。その物語の編集方針こそが、最も純度の高い「個性」となります。
内容の整理とまとめ
内容の整理
ここまで、「自分らしさ」について、自分らしさと関係することがらについて説明しました。まず、自分らしさについて、自己同一性:時間の連続性、自己概念:自分が思う「自分という人間」のイメージ、分人:相手との関係で作られる自分を説明しました。次に、「自分らしさ」に関係する事柄として、昨日の自分をつなぎとめる脳の仕組みを説明しました。加えて、「多面的な自分」こそ健全、「自分らしさ」は選択の履歴書について説明しました。
まず、昨日の自分をつなぎとめるのに過去の記憶に関与する海馬が関与していました。これにより、一貫性を保っていました。また、「多面的な自分」こそ健全では、対人関係ごとに異なる自分が現れるという説明しています。これは、会社での自分、学校での自分、サークルでの自分、家庭での自分、1人の時の自分など多くの自分があり、それぞれがあって健全ということになります。そして、「自分らしさ」は選択の履歴書について、自分を築き上げてきたのが過去に選択をしてきたすべての蓄積ということでした。
まとめ
「本当の自分」を気にすることは過去の自分に引きずられていることにもなりそうです。そのため、「今の自分が心地よいと思う選択」を積み重ねることが大切なような気がします。つまり、日々の行動や人間関係の中で作られていくものということになります。
また、「本当の自分」という「正解」を探すと苦しくなります。そのため、今の自分の編集パターンを知ることで、自分を客観視できるようになると思われます。そのようにして「自分らしさ」という言葉に振り回されないようにすることが重要な気がしました。あまり考えすぎず、自分探しではなく、自分創りを考えた方が良いような気がしました。


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