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さっきまで覚えていたことを、部屋を移動した瞬間に忘れる理由:ドアウェイ効果

心理
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 冷蔵庫に向かったのに、何を取りに来たか忘れることがあります。また、別の部屋に行った瞬間、目的が思い出せないということもありました。そして、仕事中、別のフロアに移動したらタスクを忘れるこのようなこともありました。「あれ?何しに来たんだっけ?」と立ち尽くすことが多々ありました。そして、この“記憶の断絶”は、多くの人に起きるごく自然な現象のようです。

「あれ? 何しに来たんだっけ?」ほんの数秒前まで覚えていたはずの目的が、部屋を移動した瞬間にスッと消えてしまう。そして、そんな自分にちょっと不安になったり、しまうことがありました。少し疲れているのではなどと思ったりしまうことがありました。しかし、この“突然の忘却”は記憶力の問題ではないようです。そして、心理学的にも、脳の仕組みとしても、ごく自然に起きる現象(ドアウェイ効果)のようです。

 このブログでは、さっきまで覚えていたことを部屋を移動した瞬間に忘れる要因について調べましたので以下に説明します。

記憶は「場所」とセットで保存される:ドアウェイ効果

 心理学では、記憶は単体で保存されるのではなく、状況(コンテクスト)と結びついて保存されるとされています。そして、これを「コンテクスト依存記憶」と呼びます。

  • 目的と状況(場所)
    • リビングで「メモ帳を取りに行こう」と思う
    • その“目的”はリビングという環境情報とセットで保持される

 しかし、部屋を移動すると環境が変わり、記憶を支えていたコンテクストが消えます。そのため、目的も一緒に消えやすくなります

ドアは“心理的な場面転換”として働く

 ドアや通路は、心理学的には「シーンの切り替えポイント」です。そして、映画のカットが変わるように、脳は別の状況であると判断します。例えば、「ここからは別の場面」、「さっきの目的はもう関係ないかもしれない」などです。
 そして、この“場面転換の認知”が、直前の目的を弱めてしまいます。つまり、ドアをくぐる=心理的に前の場面を終了させる合図になっているのです。

目的が曖昧だと忘れやすい

 心理学では、目的の明確さが記憶保持に大きく影響します。例えば、なんとなく取りに行くついでに何かしようあれを…あれを…などです。そして、こうした曖昧な目的は、脳が優先度を低く判断するため、場面が変わると真っ先に消える情報になります。

注意が分散していると記憶が保持されない

 部屋を移動する途中で以下のような状態だと忘れやすくなります。つまり、心理学では、注意が分散するとワーキングメモリが弱くなり、目的が簡単に押し出されてしまいます。例えば、次のような状態です。

  • 別のことを考えている
  • スマホを見ながら移動
  • マルチタスク中
  • 疲れていて注意が散漫

 また、部屋を移動すると、脳は次の情報を処理し始めます。そのため、ワーキングメモリの上書をしてしまいます。

  • 新しい部屋の光
  • 匂い
  • 人の気配
  • 物の配置
  • 次の行動の準備

新しい部屋に入ると“次の行動スキーマ”が発動する

 人間の行動は、心理学的には「スキーマ(行動の型)」に沿って動きます。

  • キッチンに入る → 飲み物を取る
  • 寝室に入る → 着替える
  • 玄関に入る → 靴を脱ぐ

 つまり、部屋を移動すると、脳はその部屋に対応した“次の行動スキーマ”を自動的に起動します。そして、その結果、直前の目的が上書きされてしまいます

ドアウェイ効果が起きやすい心理状態

 次のような心理状態だと、忘れやすさがさらに強まります。そして、これらが重なるほど、ドアウェイ効果は起きやすくなります。

  • 疲れている(注意力が低下)
  • ストレスが強い(思考が狭まる)
  • マルチタスク中(目的保持が弱い)
  • 目的が曖昧(優先度が低い)
  • いつもと違う動線(スキーマが乱れる)

まとめ

 ここまでこのブログでは、さっきまで覚えていたことを部屋を移動した瞬間に忘れる要因について説明しました。まず、記憶は「場所」とセットで保存されるドアは“心理的な場面転換”として働く目的が曖昧だと忘れやすい注意が分散していると記憶が保持されない新しい部屋に入ると“次の行動スキーマ”が発動するドアウェイ効果が起きやすい心理状態を説明しました。

 そして、ドアウェイ効果は、心理学的には次のような“正常な働き”の結果でした。

  • 記憶を環境とセットで整理する
  • 場面ごとに必要な情報だけを残す
  • 新しい行動スキーマを優先する
  • 注意資源を効率的に使う

 つまり、忘れるのは「脳が弱いから」ではなく、脳と心が効率的に働いている証拠でした。私は、動いて目的の場所について何をするかを思い出せないことが多々ありました。そして、その時々で、疲れているからや記憶が苦手だからと思うようにしていました。しかし、この説明で出てきましたワーキングメモリ場面転換という言葉がしっくり解きました。

 そういえば、場所を移動しての行動時に多く起きていました。また、別のことが気になった時にも目的を忘れてしまっていました。そして、場所が変わらない場合でも、パソコンに向かって何かを調べようと思って向かった時に別のことが気になった時に忘れてしまっていました。それはワーキングメモリの影響だったと思えました。何だか、これらの要因でこれまでのことが説明できたような気がしました。

 

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