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音楽が作業効率を上げる時、下げる時:BGMの心理学

心理
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 集中力を高めるために、音楽を流すということをします。また、オフィスによってはBGMが流されているところもあるようです。そして、多くの人が日常的に行っている習慣でもあるような気がします。そして、確かに、好きな音楽は気分を上げ、退屈な作業を楽しい時間に変えてくれることがあります。しかし、音楽がうるさくなって止めたこともあります。逆に、気づいたら仕事の手が止まり、音楽のリズムに合わせて指を動かしていた。あるいは、難しい資料を読んでいる最中、何度も同じ行を読み返してしまった。このようなこともあります。

 そして、心理学の研究では、音楽は「やる気のブースター」という結果があります。しかし、その一方、「脳の処理能力を奪う泥棒」にもなることが明らかになっています。また、今回は、脳の仕組みである「認知資源」という考え方をもとします。そして、仕事や勉強のパフォーマンスを最大化するBGMとの正しい付き合い方について調べました。

 このブログでは、音楽が作業効率を上げる時、下げる時に関して、脳の「リソース(認知資源)」音楽が音楽が脳の邪魔を示す実験、処方箋について調べたので以下に説明します。

脳の「リソース(認知資源)」を理解する

認知資源とは

 音楽が作業の助けになるか邪魔になるかを分けているものがあります。そして、最大の鍵は、脳の「認知資源(Cognitive Resources)」という概念にあります。

 なお、認知資源とは、注意や思考、判断など、脳が知的活動を行う際に脳の使える量・余裕のことです。そして、使えば減り、疲労感や集中力の低下につながります。しかし、休息や睡眠で回復します。この資源をいかに節約し、重要なことに使うかが、効率的な活動や生産性向上に繋がると考えられています。 

脳のメモリには「容量」がある

 また、私たちの脳が一度に処理できる情報の量には限界があります。これをパソコンの「メモリ」に例えると分かりやすくなります。

単純作業(データ入力、掃除、単純な計算など)

 単純作業時には、脳のメモリを20%程度しか使いません。そのため、残りの80%が「退屈」を感じてしまいます。そのため、他のことに気を取られやすくなります。そして、ここで音楽を流すと、余ったメモリが適度に埋まります。そして、飽きを防いで作業効率が向上します。

複雑な作業(読解、執筆、論理的思考)

 複雑な作業時には、脳のメモリを90%以上使用します。また、この状態で音楽を流すと、音楽を処理するために数10%のメモリが奪われます。そして、メインの作業に割くメモリが不足します。その結果、音楽(特に歌詞入り)が流れると、脳がパンクしてしまいます。そして、効率が低下して、ミスが増えたり、思考が停止したりしてしまいます。

 つまり、「何を聞くか」と同じくらい「今、自分の脳がどれくらいメモリを使っているか」を見極めることが重要です。

逆U字型の法則(ヤーキーズ・ドットソンの法則)

 ヤーキーズ・ドットソンの法則は、適度なストレスや刺激(覚醒レベル)が最もパフォーマンス(作業効率や成果)を高めます。そして、低すぎても高すぎてもパフォーマンスは低下するという心理学の法則です。また、グラフにすると逆U字型の関係を描くためこのように呼ばれています。簡単作業で比較的強いストレスが、複雑作業で比較的弱いストレスが最適とされるのが特徴です。また、覚醒レベル(テンション)は低すぎても高すぎても良くありません。つまり、ちょうどいい「ゾーン」を音楽で作るのがコツになります。

音楽が脳の邪魔を示す実験

 音楽がどのように脳を邪魔するのか、特に注目すべき2つの実験データをご紹介します。

「歌詞」は脳にとって「第2の仕事」になる

 イギリスの応用心理学の研究では、3つの環境で読解テストの成績を比較しました。そして、その3つの環境は、「無音」「インスト(楽器のみ)」「歌詞ありの曲」です。

  • 結果: 歌詞ありの曲を聴いたグループは、他の2グループに比べて明らかに成績が低い結果でした。
  • 理由: 人間の脳には、言語を処理する領域が限られています。「テキストを読む」という言語処理と、「歌詞を聴く」という言語処理が衝突します。そして、その理由は脳内で激しい渋滞(干渉)が起きてしまうからです。
  • 「歌詞」の破壊力: 脳の「言語処理センター」は1つしかありません。そのため、「資料を読みながら歌詞を聴く」のは、2人の話を同時に聞くのと同じになります。このように、脳に多大な負荷がかかることが実験で証明されています。

「好きな曲」ほど、創造性を奪う?

 意外なことに、最新の研究では「好きな曲」や「馴染みのある曲」さえも、特定の作業にはマイナスに働くことが示唆されています。

  • 実験内容: 被験者にクリエイティブな問題(遠隔連想検査など)を解いてもらいました。
  • 結果: 好きな音楽をバックグラウンドで流した場合、無音の状態よりも正答率が下がりました。
  • 理由: 好きな曲では、無意識に次のメロディを予測やその曲に関する記憶を想起したりします。そして、この無意識の活動が、クリエイティブな思考に必要な脳の余白を埋めてしまうのです。
  • 「お気に入りの曲」の罠:
    • 好きな曲を聴くとドーパミンが出て気分は良くなります。しかし、脳が音楽に集中してしまいます。創造的なタスクのパフォーマンスは無音環境音に劣るという研究結果があります。

処方箋

作業の種類と音楽

  • インプット(読書・学習)      :「無音」または「自然音」
  • アウトプット(単純な書き出し・作業):「アップテンポなインスト」
  • やる気が出ない時:
     作業を始める前の5分間;「好きな曲」を聴く → 脳をドーパミンで満たす
     作業中        ; 「無音」(音楽を消す) 

 このように、「音楽を聴きながら作業する」のではなく「作業に合わせて音楽を使い分ける」の方が良いかもしれません。

その他の要素

  • 「1/fゆらぎ」:
      川のせせらぎや木漏れ日のような「1/fゆらぎ」を含む音は、リラックスと集中のバランスを整えます。
  • 「ヘッドホン」の心理的効果:
      音楽そのものだけでなく、ヘッドホンをします。そして、ヘッドフホンをすることで「今は集中モードだ」という自分や周囲への合図になります。このような行動を「プライミング効果」と呼びます。

まとめ

 ここまでこのブログでは、音楽が作業効率を上げる時、下げる時に関して、脳の「リソース(認知資源)」音楽が音楽が脳の邪魔を示す実験、処方箋について説明しました。まず、脳の「リソース(認知資源)」を理解するについて、認知資源とは脳のメモリには「容量」がある逆U字型の法則を説明しました。次に、音楽が脳の邪魔を示す実験について、「歌詞」は脳にとって「第2の仕事」になる「好きな曲」ほど、創造性を奪う?を説明しました。そして、処方箋について、作業の種類と音楽その他の要素について説明していました。

 音楽の使い方として、作業開始時には、好きな曲でテンションをブーストするようにする。また、没頭したい時は、歌詞のない自然音やホワイトノイズ、聞き流せる程度に馴染んだインストを選ぶ。ルーチンワークには、 アップテンポな曲でリズムのものを選ぶ。などの場合分けが良いということが示されていました。これまで音量が大きい音楽が邪魔をするということは知っていましたが、ここまで最適化ができるとは考えていませんでした。しかし、作業場所などで流れているBGMなどの雰囲気から何となく察するところはありました。これらの内容に加え、自分の体調や精神状態を考慮して音楽を選ぶ、無音の選択をすることで作業効率が向上するように思えました。

 

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