「迷ったら高い方を選べば間違いない」という考え方が頭の底にはあるような気がします。例えば「500円のビニール傘と5000円の折りたたみ傘」や「高級化粧水とプチプラ化粧水」があります。そして、”高いものを選べば安心?”という気がしています。ただし、ビニール傘で十分やプチプラで大丈夫とか考えている部分もあります。そして、高価な商品は、高品質であるという思いがあるような気がします。
また、無意識に価格を品質のバロメーターにしているような気がします。そして、実はそこには脳の「思い込み」が隠されているようです。また、以前のブログ「『ブランド』ってなぜ高価なの?価格の裏にあるストーリーと価値」」が関係しています。ブランド品がなぜ高価なのかなどについて説明しています。興味のある方は参照してください。
このブログでは、高価のものを安心と思う心理、「高いもの=安心」が成立する理由、賢い見極め方について調べましたので以下に説明します。
高価なものを品質が高いと思う心理
価格と品質をめぐる心理現象
なぜ私たちは「高い=良いもの」と思い込んでしまうのか、その正体を紹介します。
- ヴェブレン効果: 「価格が高いこと」自体に価値を感じ、それを持つことでステータスや安心感を得ようとする心理です。
- ハロー効果(後光効果): 「価格が高い」という一つの目立つ特徴に引きずられます。そして、使い勝手や耐久性など、他のすべての要素も優れていると思い込んでしまう現象です。
- プラセボ効果(価格の暗示): 面白い実験結果があります。同じワインでも「高い」と言われて飲んだ時の方が、脳がより大きな快感を感じるというものです。そして、「高いから良いはずだ」という期待が、実際の満足度を底上げしてしまいます。
価格の魔法:なぜ「高い」と良く見えるのか
私たちは無意識に、価格を「品質の履歴書」のように捉えています。
- 「高価格=努力の結晶」というバイアス: まず、これだけ高いのだから、きっと希少な素材を使い、熟練の職人が作り、厳しい検査を通ったに違いないと考えます。つまり、人は高い価格設定を見ると、このようなストーリーを勝手に補完します。これを「ハロー効果」と呼びます。つまり、一つの優れた特徴(価格)が、実物以上の評価を全体に与えてしまいます。
- 認知的不協和の解消: 高いお金を払った後、脳は必死にその製品の「良いところ」を探し始めます。つまり、「もしこれが悪いものだったらどうしよう」という不安を打ち消そうとします。また、使用してみて「さすがに肌触りが違う」「音がクリアな気がする」などもあります。そして、自分の選択を正当化するために満足度を自ら引き上げてしまいます。
安さの不安:なぜ「安かろう悪かろう」を恐れるのか
逆に、安すぎるものに対して私たちは本能的な恐怖を覚えます。
- リスク回避本能: 私たちの脳は「損をすること」を「得をすること」の2倍強く嫌います。また、これを「プロスペクト理論」といいます。また、安価なもので失敗し、安物買いの銭失いというレッテルを貼るのが怖さを持っています。そして、その結果、「高い方を選んでおけば、少なくとも失敗した時の言い訳ができる」という守りの心理が働きます。
- 「隠れたコスト」への疑念: 「なぜこんなに安いのか?」という疑問をもちます。そこで、脳は「見えないところで手を抜いているのではないか」「安全性が低いのではないか」と、ネガティブな予測を優先して立ててしまいます。
「高いもの=安心」が成立する理由(論理的側面)
心理的錯覚だけでなく、実際に高価格が品質を担保している側面も無視できません。
- 原材料と工程のコスト: 安価な製品はどこかでコストカットしています。つまり、素材を安くする、検品工程を省くなどをしています。逆に、高いものは、見えない部分の耐久テストや素材の質に投資されています。そして、結果的に「長持ちする」「失敗が少ない」という安心感に繋がります。
- アフターケアの料金: 高価なブランドは、保証期間や修理体制が充実していることが多いです。そして、「壊れても大丈夫」という安心感も価格に含まれています。
賢い見極め方
「価格」ではなく「価値」を見る:その内訳を解剖する
高いものには「理由」があります。しかし、その理由が自分にとって価値があるかを見極める必要があります。まず、機能原価と象徴原価があります。つまり、自分が払うお金が、どちらの割合に多く割かれているかを確認します。例えば、「長く使いたい」なら機能原価に、「自分を勇気づけたい」なら象徴原価に投資するのが正解です。そして、1回使うあたりのコストにも注目します。
- 「機能原価」か「象徴原価」か:
- 機能原価: 耐久性、性能、素材の質があります。そして、これらは「使い心地」に直結します。
- 象徴原価: ブランドのロゴ、豪華な広告、ステータス感があります。そして、これらは「所有する満足度」に直結します。
- 「1回あたりのコスト(CPW: Cost Per Wear/Use)」で考える: 10万円のコートを100回着れば1回1,000円になります。また、1万円の服を2回しか着なければ1回5,000円になります。つまり、単価ではなく、「人生で何回その恩恵を受けるか」で計算します。そうすると、高いものが実は「安い(得)」になる逆転現象が起きることがあります。
自分軸の基準:満足度の「スイートスポット」を見つける
すべての使用するものなどを最高級にする必要はありません。そして、そのために自分なりの投資基準を持つようにします。
- 「肌に触れる・時間を共にする」ものへの投資: 1日の3分の1を過ごす寝具、仕事中ずっと触れるキーボードや靴などがあります。つまり、「身体との接触時間が長いもの」にはお金をかける価値があります。ここは価格と品質の差をダイレクトに感じやすい「満足度のスイートスポット」です。
- 「情報収集のコスト」を価格で買う: 忙しい現代人にとって、膨大な商品から最高の一品を探すのは重労働です。つまり、有名ブランドのものを買う行為は、調べる手間を省く手数料を払っているとも言えます。そして、その手間(時間)を節約したいなら、高いものを選ぶのは合理的な判断になります。
「高いのに満足できない」落とし穴
一方で、価格だけで選ぶと失敗することもあります。
- ブランド料の比率: 価格の多くが「広告宣伝費」や「ブランド維持費」に消えている場合があります。そして、製品そのものの原価は安価なものと大差ないことがあります。
- オーバースペック: 自分には不要な多機能がついているために価格が上がっているケースです。そして、「最新の100機能」の製品より「自分が使う3機能」が優れた安い製品の方が、満足度は高くなることがあります。
価格と安心
| 価格の正体 | 特徴 | 安心感の根拠 |
| 品質コスト型 | 素材が良い、職人の手仕事、厳しい検品。 | 実質的な安心。 長く使える、安全性が高い。 |
| ブランド・広告型 | 有名なロゴ、豪華な店舗、CM出演者。 | 心理的な安心。 所有欲が満たされる、周囲に自慢できる。 |
| サポート・保証型 | 修理無料、24時間対応、返品可能。 | リスク回避の安心。 壊れた時の不安がない。 |
購入前の3つの質問
- この商品のロゴがなくても、私はこの金額を払いたいか?(=象徴原価の確認)
- これを使い切るまでに、1回あたり何円になるか?(=使用コストの確認)
- これは私の「時間を生んでくれる」か、それとも「ただ所有したい」だけか?(=価値の質の確認)
まとめ
ここまでこのブログでは、このブログでは、高価のものを安心と思う心理、「高いもの=安心」が成立する理由、賢い見極め方について説明しました。まず、高価のものを安心と思う心理について、価格と品質をめぐる心理現象、価格の魔法:なぜ「高い」と良く見えるのか、安さの不安:なぜ「安かろう悪かろう」を恐れるのかを説明しました。次に、「高いもの=安心」が成立する理由について、コストやアフターケアについて説明しました。最後に、賢い見極め方について、「価格」ではなく「価値」を見る、自分軸の基準:満足度の「スイートスポット」を見つける、「高いのに満足できない」落とし穴、購入前の3つの質問について説明しました。
基本的には、「一番高いもの」がすべて正解というわけではありません。そして、高いから買うのではなく、その背景にある物語やこだわりに納得して買うことが必要のような気がします。つまり、そのため「自分を一番笑顔にしてくれるもの」が、自分にとっての最高級ということになります。そして、価格という数字に主導権を渡さず、あなたがその物の『主(あるじ)』になって選ぶ必要があるような気がします。


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