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「メディアが人々の世界観を培養する」心理的メカニズム 教化効果

心理
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 テレビのニュースやドラマを長時間の視聴で、世の中って危険な場所だと感じる人がいるようです。そして、このような現象が教化効果(Cultivation Theory)と呼ばれています。また、メディア、特にテレビのような大衆娯楽を長時間・継続的に視聴することで起きています。つまり、視聴者の世界観社会認識が、メディアの提示イメージへと徐々に教化されていきます。そして、この教化は、社会心理学・コミュニケーション学の理論になります。これは、メディアが世界をどのように見せているか視聴者が世界をどのように認識しているかの関係性を解き明かす鍵となる概念です。

 このブログでは、教化効果がどのようなことか、そして、教化がどのように機能する、教化効果と行動的確証の組合せについて、この組合せの具体例について調べましたので以下に説明します。

教化効果とは

基本的な定義

  • 提唱者:ジョージ・ガーブナー(Gerbner)らによる「培養理論」に基づく概念です。
  • 内容:テレビやドラマなどのメディアに長時間接触すること生じるものです。つまり、現実世界の認識がメディアの提示するイメージに近づいていくものです。
  • 特徴:即効的な影響ではなく、長期的・累積的に人々の世界観を形づくります。

代表的な例

  • 暴力の認識
     テレビドラマで暴力シーンを多く見る人は、現実社会でも暴力が多いと感じやすくなります。
  • 社会の歪んだイメージ
     メディアが描く典型的な人物像が、現実の社会認識に影響を与えます。
  • 主流形成効果
     多くの人が同じメディアへの接触で、社会全体の価値観や態度が「主流」に近づきます。

心理学的意義

  • 強力効果論との違い
     強力効果論は「メディアが即座に人々を動かす」と考えます。しかし、教化効果は「じわじわと世界観を培養する」点で異なります。
  • 限定効果論との接点
     個人の意見を直接変えるのではありません。つまり、既存の傾向を強化したり、社会的認識を少しずつ歪めます。
  • 社会的影響
     偏見やステレオタイプの再生産に関わります。そして、教育や政治、文化に広く影響します。

教化効果と行動的確証が組み合わさるとどうなるか

それぞれの役割

  • 教化効果(Cultivation Effect)
     メディアが繰り返し提示するイメージや価値観が、人々の社会認識を長期的に形づくります。例えば、「女性は理系が苦手」、「犯罪は日常的に多い」、このようなイメージです。
  • 行動的確証(Self-fulfilling Prophecy)
     その認識や期待が態度や行動に反映され、結果的に予想通りの現実をつくり出します。例えば、「女性は理系が苦手」と思われると、周囲の態度や本人の自己評価が影響します。そして、成績差が生まれるようになります。

組み合わさると起こること

  1. メディアが偏ったイメージを提示します。
     そして、教化効果で「それが現実だ」と多くの人が信じる。
  2. その信念が行動に反映されます。
     そして、行動的確証によって、期待通りの結果が現実化します。
  3. 結果が再びメディアに取り上げられます。
     そして、「やっぱりそうだ」という認識が強化され、さらに教化効果が進みます。

一般的な具体例

  • 職場のジェンダー役割
     メディアが管理職は男性が多いと描きます。 → 社会がそう信じるようになります。 → 女性は昇進機会を与えられにくくなります。 → 実際に管理職は男性が多い状態です。 → メディアが再び男性管理職が多いと報じます。
  • 治安の認識
     ニュースが犯罪を強調するします。 → 人々が社会は危険だと信じます。 → 警戒心が強まり人間関係が冷たくなります。 → 実際に不信感が増します。 → メディアが「人間関係の希薄化」を報じします。

職場での具体例: メディアが『理系は男性』というイメージを繰り返し提示すると、職場でもその先入観が強化される

メディアの役割(教化効果)

  • テレビやドラマ、ニュース記事などで同じイメージのことが繰り返し提示されます。例えば、理系は男性が多い。そして、女性は文系に向いているなどです。
  • そして、長期的にこれらのイメージに接触します。そして、人々は「それが現実だ」と思い込みやすくなります。
  • これが 教化効果 です。つまり、社会全体の認識がじわじわと形成されます。

職場での影響(行動的確証)

  • 職場の上司や同僚もそのイメージを信じてしまいます。そして、女性は理系の仕事が苦手だろうと無意識に考えます。
  • そして、その結果、女性社員に理系的な業務を任せる機会が減ります。
  • また、女性社員自身も周囲がそう思っていると感じて萎縮し、挑戦を避けます。
  • 結果的に「やはり理系は男性が多い」という現実が強化されます。
  • これが 行動的確証 です。思い込みが行動を通じて現実化するものです。

両者が組み合わさると…

  1. メディアが偏ったイメージを提示されます。そして、教化効果で社会全体が信じようになります。
  2. 職場でその信念が行動に反映されます。そして、その結果、 行動的確証で「現実」がつくられます。
  3. その現実が再びメディアに映し出されます。そして、「やっぱりそうだ」と強化されます。

 つまり、メディアがつくったイメージが職場の態度を変えます。そして、その態度が現実を再生産します。さらに、メディアがそれを強化する循環が生まれます。この循環を次図に示します。

まとめ

 ここまでこのブログでは、教化効果がどのようなものか、教化効果と行動的確証が組み合わさるとどうなるか、具体例について説明しました。まず、教化効果について、基本的な定義代表的な例心理学的意義を説明しました。次に、教化効果と行動的確証が組み合わせについて、それぞれの役割組み合わさると起こること、一般的な具体例について説明しました。最後に、職場での具体例:メディアが『理系は男性』というイメージを繰り返し提示すると、職場でもその先入観が強化されるについて、メディアの役割(教化効果)職場での影響(行動的確証)両者が組み合わさった場合を説明しました。

 また、教化効果は、メディアが人々の世界観を培養する心理的メカニズムです。そして、即効的ではなく長期的に社会認識を形成する点が特徴です。注意しなければいけないのはメディアが単なる情報の伝達者ではないことです。

 つまり、私たちの世界観や現実に対する感覚を徐々に『調整』する強力な力を持っていることです。そして、知らない間に進んでいるところを恐ろしく感じます。そのため、視聴時間を意識的に制限し、多様な情報源から現実のデータ(統計など)を確認する習慣こそが求められていることのように思えます。そして、教化効果の影響から身を守り、自分自身の健全な世界観を構築する鍵となるような気がします。

 

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