私はここ最近夢をみていません。そして、そのためどんなものだったか内容を思い出すことができません。しかし、夢は現実の話とは異なるものだったような気がします。そして、無意識からの重要なメッセージであるとかいう話を聞いたことがあります。また、夢の解釈といえばフロイトやユングが有名です。そして、近年の脳科学は、夢が記憶整理や感情処理に不可欠な脳の機能であることを突き止めました。また、夢は、心と身体をリフレッシュする、驚くべき役割を担っています。
このブログでは、最新の知見に基づき、夢がREM睡眠とノンレム睡眠でどう異なり、悪夢がどのような状況で生じるのか、現在の脳科学からの知見等について調べましたので以下に説明します。
夢の「科学的メカニズム」
睡眠について
- REM睡眠とノンレム睡眠:
- レム睡眠とノンレム睡眠は、脳と体の活動状態が異なる2種類の睡眠です。そして、一晩に約90分周期で繰り返されます。まず、ノンレム睡眠は脳も体も休ませる深い眠りで疲労回復をします。そして、レム睡眠は脳が活発で夢を見やすく体は休まっている状態のものです。この状態では、筋肉が弛緩された状態でREM: Rapid Eye Movement=急速眼球運動という眼球運動がされています。そして、レム睡眠は、記憶の整理などに重要とされ、目覚めやすいのが特徴です。
- 脳の活動:
- なぜ夢が支離滅裂になるのか?このような疑問があります。これは、夢を見る状態では、感情を司る扁桃体などが活発な状態です。しかし、論理的な思考を司る前頭前野の活動が低下しているためです。
- 夢の機能(仮説):
- 記憶の整理と定着: 日中に得た情報を整理し、不要なものを削除する役割をしています。
- 感情の処理: 強いストレスや感情的な出来事をシミュレーションし、和らげる役割をしています。
夢の「心理学的・解釈的アプローチ」
フロイトの精神分析
ジークムント・フロイトが創始した人間の心の理論と治療法の体系です。そして、これは意識と無意識の二層構造を基本とししています。そして、無意識下に抑圧された欲求や葛藤が、神経症などの症状や心の苦しみを生むと考えます。また、それを自由連想法などで表面化させ、解釈を通して意識化・理解します。そして、症状の改善や自己理解を深め、心の自由を取り戻すことを目指すものです。
- 夢は「願望の充足」であるという古典的な説です。そして、夢の内容を分析することで、無意識の願望や葛藤を探ります。
- 顕在夢(見ている夢)は、実際に見た夢の表面的な内容のことです。これに対し、潜在夢(隠された意味)は、無意識の奥に隠された本当の願望や意味のことです。まず、精神分析学のフロイトが提唱したものです。そして、無意識の願望(潜在夢)が圧縮や置き換えといった夢の作業(ドリームワーク)によって変形され、覚えている夢(顕在夢)として現れると考えられています。
ユングの分析心理学
スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが創始した深層心理学です。まず、個人の意識だけでなく、人類共通の集合的無意識と元型を探求している、個性化(自己実現)を目指す心理療法・理論です。そして、夢分析や影、ペルソナ、アニマ・アニムスといった概念を重視しています。また、意識と無意識の統合を通じて自分らしい自分になることを目指す人生後半の心理学とも言われます。
- 夢は自己実現への道筋を示すもので、無意識からのメッセージであるという視点です。また、夢を無意識からのメッセージと捉えます。そして、単なる抑圧された願望の表出ではなく、治癒的な意味を持つ多義的なものとして扱います。
現代の夢分析
- フロイトやユングの伝統を受け継ぎ、夢は現在の自分や課題を映す鏡という考えが主流です。また、単なる願望の充足だけでなく、脳の機能や情報整理の過程とも結びつけられています。そして、自己理解や問題解決、創造性開発等に使われる、より多様で実践的なアプローチです。臨床では、無意識からのメッセージを受け取り、自己成長や自己実現(個性化)を目指す拡充法などが用いられています。、夢を「現在の自分」と向き合うためのツールとして活用されます。
- 夢は、「個人の現在の精神状態やストレスレベルを映し出す」という解釈をしています。例えば、追われる夢はストレス、歯が抜ける夢は自信喪失などです。
脳科学:最新知見
夢は「REM睡眠」と「ノンレム睡眠」のどちらでも見られている
かつては夢は主にREM睡眠(Rapid Eye Movement: 急速眼球運動)中に見られるとされていました。しかし、最新の研究ではノンレム睡眠でも夢を見ていることが分かっています。
| 睡眠段階 | 夢の性質 | 脳活動の特徴 |
| REM睡眠 | 鮮明、感情的、ストーリー性が高い | 脳波は覚醒時に近い状態。扁桃体(感情)や視覚野が活性化。前頭前野(論理・理性)は抑制。 |
| ノンレム睡眠 | 思考的、現実的、単純 | 脳波は徐波(デルタ波)。夢の報告率はREM睡眠より低いが、思考活動は発生している。 |
- ポイント: 覚醒直前がREM睡眠のことが多いため、REM睡眠中の夢が記憶に残りやすいものとされています。
感情の処理とネガティブな夢の役割
夢の主要な機能の一つは、感情の整理とストレスの解消であるという見解が有力です。
- 扁桃体(へんとうたい)の活性化:
- REM睡眠中は、感情を司る扁桃体が非常に活発になります。
- ネガティブな情動要素と関連するこの部位の活動が高まります。そして、このために夢には嫌な内容が多く現れやすいと説明することができます。
- これは、夢が安全なシミュレーション空間として機能し、日中に体験したネガティブな感情を「再処理」して、ストレスを和らげようとしているという説を裏付けます。
- 神経伝達物質の変化:
- 夢を見ている時、記憶固定のノルアドレナリン等の神経伝達物質の放出が低下しています。そして、感情的な記憶を感情ラベルを外しての整理に適した状態と考えられています。
記憶の統合と創造性の促進
夢は、日中学んだ情報や経験を脳が整理し、既存知識と結び定着させる役割も担っています。また、これを記憶の統合と呼びます。
- 海馬と記憶:
- 睡眠中、特にノンレム睡眠中に、記憶形成に関わる海馬と大脳皮質の間で情報のやり取りが行われます。そして、短期記憶が長期記憶へと定着していくことが分かっています。
- REM睡眠では、記憶の結合(関連付け)が活発に行われます。これが、夢の中で無関係な人や場所がごちゃ混ぜになる原因になります。そして、同時に創造的なアイデアが生まれるヒントにもなるとされています。
- 創造性:
- 夢の非論理性は、論理的な思考を司る前頭前野の活動が抑制されているために生じます。そして、この非論理的な結合こそが、新しいインスピレーションや問題解決のヒントを生み出すと考えられています。
明晰夢(ルシッドドリーム)と意識の研究
- 明晰夢(めいせきむ): 夢を見ている最中に、これは夢だと自覚している状態です。
- 脳科学的興味: 明晰夢中は、通常のREM睡眠で抑制されているはずの前頭前野の一部が活性化していることが報告されています。そして、これは睡眠中の意識の発生メカニズムを探る上で非常に重要な知見とされています。
対策
- 夢日記のつけ方: 夢を忘れないために、起きたらすぐにキーワードだけでもメモします。そして、後から文章を肉付けし、タイトルをつけて感情を記録するのが基本です。
- 明晰夢(ルシッドドリーム): 明晰夢の活用法は、夢日記でパターンを把握し、現実で「これは夢か?」と自問し、WBTBテクニック(早起きして再入眠)で明晰夢に入りやすくするのが基本です。そして、夢の中では「触れる」「景色をクリアにする」などの方法で安定させます。そして、現実世界での自己認識を高めると、夢のコントロールやトレーニングにも活用できます。
- 悪夢との向き合い方: 目覚めた直後の対処として、深呼吸、水分補給、現実の確認をします。また、睡眠環境の改善としては、暗さ、静かさ、温度管理などを調整します。加えて、ストレス管理として日記、リラックス法、就寝前の刺激物回避があります。そして、PTSD、うつ病など疾患が疑われる場合には、専門家への相談します。特に、悪夢の内容を書き出して「良い結末」に書き換えるイメージリハーサル法は、悪夢の改善に有効な認知行動療法です。
まとめ
ここまで最新の知見に基づき、夢がREM睡眠とノンレム睡眠でどう異なり、悪夢がどのような状況で生じるのか、現在の脳科学からの知見等について説明しました。まず、夢の「科学的メカニズム」について、睡眠を説明しました。次に、夢の「心理学的・解釈的アプローチ」について、フロイトの精神分析、ユングの分析心理学、現代の夢分析を説明しました。そして、脳科学の最新知見について、夢は「REM睡眠」と「ノンレム睡眠」のどちらでも見る、感情の処理とネガティブな夢の役割、記憶の統合と創造性の促進、明晰夢(ルシッドドリーム)と意識の研究から説明しました。最後に、対策について説明しました。
これらを調べてみて思っていたよりも夢が脳機能の多くの部分の関与を認識しました。そして、人間が活動をしてその活動の結果を脳に記憶する際の1つのプロセスの中にあるということを理解しました。そのために、覚醒直前のREM睡眠時の夢が記憶に残るということは何と理解できました。全体的に何となくは理解できました。しかし、夢を見る人見ない日の違いは、心理的なストレスが原因なのか、他の要因があるのかはわかりません。そして、夢を見る人と見ない人の違いについてもよくわかりませんでした。これらは、今後の課題のような気がします。


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