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社会的な協力を促進するために、どのように善悪の感覚が生まれたのか モラル

心理
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 なぜ私たちは、自分の利益にならないのに、他者を助けたり、不正を罰したりするのか? そして、現代のボランティア活動寄付行為といった行動も同様な行動です。そして、このような行動の意識がどこから来るのかという疑問があります。また、子どもに「なぜ人を助けるのか」についてどのように教えたらよいのか悩みます。また、テレビでインバウンドの外国人にモラルが欠けている行動が報道されていました。そして、すべての外国人がモラルが欠けてはないのですが背景の違いを感じています。背景に道徳心があるようです。そして、この道徳心は、集団の生存と繁栄のために進化的に獲得された機能だと考えられています。

 このブログでは、この他者を助けたり、ボランティア活動などの根源の進化論を視点としたモラルの進化、外国人観光客の行動について調べましたので、以下に説明します。

モラル(道徳)の進化

進化論的背景:利己的な遺伝子と協力

 進化論の基本は自然淘汰であり、個体は自己の遺伝子を残すために利己的に行動するものです。しかし、人間の集団では、協力互恵性が見られます。そして、この一見矛盾する現象を説明するのが、以下の理論です。

A. 血縁淘汰(Kin Selection)

  • 概要: 血縁者を助ける行為は、自分と共通の遺伝子を間接的に残すことにつながります。そして、そのため進化的に有利になります。
  • 初期のモラル: 初期の人類集団における「身内びいき」や「家族愛」の根源です。

B. 互恵的利他主義(Reciprocal Altruism)

  • 概要: 「情けは人のためならず」という考え方があります。助けた相手が将来、自分を助け返してくれるという期待があります。そして、これは血縁者でなくても協力する進化的な戦略です。
  • 道徳のルール化: 「約束を守る」「借りを作ったら返す」といった基本的な道徳規範があります。そして、これはこの互恵関係を安定させるために生まれました。

社会的な協力の「インフラ」としてのモラル

 集団が大きくなり、お互いに見知らぬ人同士でも協力する必要が出てきます。そして、評判のシステムが重要になります。

A. 評判システム(Indirect Reciprocity)

  • 概要: 「良い人」としての評判を築きます。そして、不特定の誰かから将来助けてもらえる可能性が高まるという戦略です。
  • 善の感覚: 「見ていないところで善行をする」ことが、長期的に集団から信頼を得ます。それが、生存率を高めることにつながりました。また、見ていないところで善行をすることは、内的な動機です。

B. 罰の進化(Altruistic Punishment)

  • 概要: 自分が損をしてでも、協力しない裏切り者や不正行為者を罰する行動です。
  • 善悪の境界線: この「罰する衝動」が、集団の協力体制を維持する上で決定的に重要でした。そして、誰もが罰を恐れて協力するようになりました。その結果、協力的な集団が非協力的な集団に比べて繁栄したと考えられます。

モラルを可能にする心理学的基盤

 これらの社会的な協力システムを脳内で機能させるために、特定の心理的メカニズムが進化しました。

  • 共感力(Empathy): 他者の感情を理解し、共有する能力です。つまり、これがなければ、相手を助ける行動(利他性)は始まりません。
  • 内的な義務感(良心): 罰則がなくても、「すべきこと」「すべきでないこと」を感じる内的な感覚です。これは、社会的なルールを内面化した結果です。

日本のモラル基盤と外国人観光客の行動

 日本は一般的に集団主義的(Collectivist)な文化です。また、ジョナサン・ハイトの道徳基盤理論での内集団/忠誠権威/尊重を強く重視します。一方、多くの西洋諸国は個人主義的であり、「公平/互恵」「危害/配慮」を重視します。そして、このモラルの基盤の違いが、観光客の行動に対する違和感として現れます。

「内集団/忠誠」と「外集団」の区別による違和感

 日本は内集団(自分たち)の調和を非常に重視します。観光客は、この集団の「外集団」として扱われるため、独特の摩擦が生じます。

違和感
の具体例
心理学的メカニズム
公共の場での大声内集団の調和(静寂)を乱す行為です。日本社会では、集団の雰囲気を壊すことは「悪」と見なされやすいです。
ゴミのポイ捨て外集団の行動。日本人がやると厳しく罰せられるが、観光客がやると「仕方ない」と見過ごされがちです。これには、外集団だからという諦めや距離感があります。
店員への強い要求「顧客(内集団の構成員)」としての権利を強く主張する行為は、日本の「権威/尊重」に基づく謙譲の文化と衝突します。

「権威/尊重」と「ルールの暗黙性」による違和感

 日本の公共マナーの多くは「暗黙のルール」です。つまり、明示的な権威によって指示されなくても自発的に従うことが「善」とされています。

違和感の具体例心理学的メカニズム
公共交通機関での列の乱れ日本では、明確な線がなくても「並ぶ」という暗黙の秩序(権威)に従うことがモラルです。観光客は「指示がないなら並ばない」と公平性に基づいて行動をします。
チップの拒否サービスを提供する側(店員)の地位(権威)を尊重します。そして、対等な互恵関係(チップ)を拒否することが、日本の文化では「善意」や「誇り」と見なされます。
写真撮影に関する無言のルール無視他人のプライバシーを尊重するという暗黙の了解(社会的配慮)があります。そのため、個人の自由(写真撮影の権利)を優先する文化と衝突します。

 このように、協力と秩序を維持するための、文化ごとに異なる道徳的な基盤の違いがあります。そして、観光客の行動に対する違和感は、具体的な行動として現れた結果と考えられます。

まとめ

 ここまでこの他者を助けたり、ボランティア活動などの根源の進化論を視点としたモラルの進化、外国人観光客の行動について説明しました。まず、モラル(道徳)の進化について、進化論的背景:利己的な遺伝子と協力、社会的な協力の「インフラ」としてのモラル、モラルを可能にする心理学的基盤から説明しました、次に、日本のモラル基盤と外国人観光客の行動について、「内集団/忠誠」と「外集団」の区別による違和感、「権威/尊重」と「ルールの暗黙性」による違和感から説明しました。

 道徳心は進化の過程で形成され今に至っています。そして、その進化にはその地域、国の文化などの環境要因や家庭環境などが関係すると思われます。そのため、国や地域などの広い意味での環境によるものの上に狭い意味での環境の家庭環境が関係し、その上にそれらの事柄を判断する個人の性格、性質が関与するような気がしました。そのため、**人はこういうことをする人が多いとかいうような傾向があるかもしれません。また、**学校の生徒は礼儀正しいという傾向があるかもしれません。そして、日本人でも家庭のしつけによって異なるということなったのではないかと思いました。

 

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