人によって面倒くさいということが違います。例えば、買い物に行く、役所に手続きをしにいく、洗濯物をするなどが面倒くさいことがあります。そして、面倒くさいことはやらなきゃいけないのに、なぜか体が動かないということがあります。これは、“面倒くさい”に心を支配されたことになります。実はこの感情、単なる怠けではなく、脳が自分を守ろうとするサインかもしれません。
このブログでは、“面倒くさい”という感情の正体について、脳という側面、心理学という側面、身体的側面から調べました。以下にこれらの内容について説明させていただきます。
「面倒くさい」という感情の正体:脳の「省エネ機能」
面倒くさいは、わずらわしい、やっかいだという意味の「面倒」を強調する言葉です。そして、特定のタスクや状況に対して後ろ向きな心の動きを示す感情です。また、「面倒くさい」という感情は、単なる「怠け」ではありません。人間の脳に組み込まれた高度な防衛・省エネ機能であると捉えることができます。
進化の過程で獲得した「エネルギー節約モード」
人間の脳は、体全体が消費するエネルギーの約20%を占める最大のエネルギー消費器官です。生存のため、脳は無意識のうちにエネルギーの浪費を避けようとします。
- 面倒くさい=警告シグナル:「面倒くさい」という感情は、脳が発する警告シグナルです。この行動はエネルギー負荷が大きい、避けたほうが良いと判断した時に発せられます。そして、高い負荷(エネルギー)を必要とする活動を避けようとします。つまり、生存に直結しない、不確実な行動を制限することで、脳のエネルギーを温存しようとします。
「未知」と「苦手」への負荷回避
そして、以下のような行動に対して、脳は強い負荷を感じ、「面倒くさい」と判断します。
- 新しいこと・やったことがないこと:新しい行動には、慣れたルーティンから逸脱し、脳の新しい神経回路を動員する必要があります。これは大きな負荷であり、脳はこれを避けようとします。
- 自分の「不得意」なこと:不得意なことほど、多くの集中力や思考力を必要とします。そのため、脳は「非効率だ」と判断し、面倒くさいという感情を生み出します。
- 曖昧な命令: 何をどうすれば良いかが不明確なタスクは、脳に具体的な行動指令が出ません。そして、そのため大きな負担となるため「面倒くさい」と感じさせます。
心理学的な側面:モチベーションと評価
タスクそのものへの心理的な評価や、個人の心の状態が大きく影響します。
- 報酬(楽しさ・メリット)の欠如:
- 「それをしても楽しさを見いだせない」「メリットが小さい」と脳が判断します。その時、やる気を生み出すドーパミンが出にくくなります。そして、「面倒くさい」という感情がわきやすくなります。
- 義務感・強制感:
- 自分の意志ではなく、「〜しなければならない」という義務感や強制感が強い場合、精神的な負担が増します。そして、「面倒くさい」と感じやすくなります。
- 苦手意識・失敗への恐れ:
- 苦手なことや完璧主義の傾向から失敗を恐れる場合があります。「どうせうまくいかない」「完璧にできないならやらない方がいい」という心理が働きます。そして、手をつける前から「面倒くさい」と感じます。
- 退屈と怒りの感情:
- 一部の心理学では、「面倒くさい」は「退屈である」という状態です。そして、それは持続的な「怒り」の感情であるとされます。単調な作業や興味を持てないことに対して、「自分の時間を奪われている」といった無意識の怒りが生じるとも考えられます。
身体的な側面:疲労と余裕
心身の状態も「面倒くさい」という感情を強めます。
- 心身の疲労:
- 睡眠不足、肉体的・精神的な疲労、ストレスなどにより、脳がエネルギー不足になります。そして、起きているだけで精一杯になり、少しの負荷も「面倒くさい」と感じる傾向が強まります。
- 脳に「余裕がない」状態であるため、余分なエネルギーを消費する行動を拒否します。
行動経済学が暴く「先延ばし」のメカニズム
「面倒くさい」が行動を阻害するメカニズムは、主に「報酬の評価」の歪みによって説明されます。
現在バイアス(即座のコストの過大評価)
これは行動経済学の重要な概念です。人間は、報酬が遠い未来にある場合、その価値を過小評価し、「今」直面するコスト(面倒くささ)を過大評価する傾向があります。
注:現在バイアスは、将来得られる大きな利益よりも、今すぐに得られる小さな利益を優先してしまう心理傾向のことです。これは「現在志向バイアス」とも呼ばれます。そして、目の前の欲求優先し、ダイエットを先延ばしにしたり、将来の投資を怠ったりします。現在バイアスは、このような行動につながることがあります。
| 要素 | 報酬(利益) | コスト(面倒くささ) |
| 時期 | 将来(例:ダイエットの効果は数ヶ月後) | 現在(例:今、運動を始める労力) |
| 脳の評価 | 過小評価 | 過大評価 |
例えば、運動の「将来の健康」という利益よりも、「今、着替えて家を出る」という面倒くささ(現在のコスト)が勝ってしまうのです。
ゴールまでの「認知的負荷」の高さ
ゴールまでの道のりが複雑で、工程が多いほど、脳は「面倒くさい」と判断します。
- ステップの多さ:タスクがいくつもの細かくて複雑なステップに分かれていると、脳は処理負荷が高いと感じ、着手を避けようとします。
- 情報の不足と不確実性により何をどうやれば良いのか分からないということがあります。もしくは、終わりが見えないという不確実性があります。
感情の疲労とストレス
「面倒くさい」は、脳の疲労やストレス状態が悪化させる要因でもあります。
- 睡眠不足・栄養不足:身体的・精神的な疲労があるとき、脳はさらにエネルギーを節約しようとするため、「面倒くさい」という感情がより強く、頻繁に発生します。
まとめ
ここまで“面倒くさい”という感情の正体について、脳という側面、心理学という側面、身体的側面から説明しました。また、“面倒くさい”は、脳における高度な防衛・省エネ機能であり、心理面でのモチベーションが得られれない、身体的な疲労による余裕がなくなったことなどが要因になっていました。
私はしばしば面倒くさいと感じることがあります。そういえば、私が面倒くさいと感じるのが、新しいこと、やったことがないことや自分の「不得意」なことでした。そして、このブログに記述したすべてが該当するのではなく、部分的に該当しても面倒くさいという感情が起きるということがわかりました。そして、「面倒くさい」は成長のサインであり、それを乗り越えることが自己成長に繋がることは理解できます。しかし、どこまで打開できるかは自信がありません。


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