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数量限定、期間限定品に弱い 希少性ヒューリスティック

心理
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 「限定〇個」という商品があり、通常品よりも限定品を購入してしまうことがあります。また、「期間限定セール」や「期間限定品」などに注意が向いてしまういます。そして、宿泊施設の「残り〇室」表示などというものも気になる表示です。このような限定、残りなどの希少性には何か引き寄せるようなものがある気がします。いろいろな場面で見るような気がします。そして、このようなものを希少性ヒューリスティック(Scarcity Heuristic)と言われています。

 このブログでは、希少性ヒューリスティックについて、どのようなものか、このヒューリスティックが働く理由、具体例、そして、脳内での処理について説明します。

希少性ヒューリスティックとは

 手に入りにくいものや数量限定、利用時間が短いものほど、価値が高いと判断してしまいます。これは、物事の希少情報が、私たちの脳に「これは重要だ」「特別な機会だ」と判断させるます。また、人は「もう手に入らないかもしれない」と感じると、その対象への欲求が強まります。そして、冷静な判断を失いやすくなります。これは、手に入りにくいものを価値が高いと判断してしまう心の傾向です。これを、希少性ヒューリスティックといいます。

 この希少性ヒューリスティックは、希少なものほど価値が高いと感じる心理傾向を指します。つまり、人は手に入りにくいものほど魅力的に見えます。そして、魅力は購買意欲を高める「ヒューリスティック」の一つになります。また、この心理効果は「希少性の法則」や「希少性バイアス」とも呼ばれます。このように希少性は、時間制限、数量制限、アクセス制限といった形で表れ、ビジネスのマーケティング手法としても利用されています

希少性ヒューリスティックが働く理由

 希少性ヒューリスティックは、進化の過程で形成された人間の本能的な行動と関連しています。私たちの祖先は、限られた資源(食べ物や安全な場所など)を素早く確保する必要がありました。そして、この「希少なものを逃してはならない」という本能が、現代でも「限定品を買い逃してはならない」という行動につながっています。

希少性ヒューリスティックの正体

 希少性ヒューリスティックは、私たちが無意識のうちに使う「心のショートカット」の一つです。つまり、私たちの脳は、論理的な思考を省略します。手に入りにくいものは、価値があるに違いないという単純なルールで素早く判断します。このヒューリスティックが働く主な理由を以下に示します。

進化の過程で培われた本能

 私たちの祖先は、生存のために限られた食料や資源を素早く確保する必要がありました。また、この「希少なものを逃してはいけない」という本能的な行動は、現代でも私たちの遺伝子に刻まれています。そして、この本能が限定商品などでで今買わないと損をするという感情につながります。

損失回避の心理

 心理学では、「利益を得る喜び」より「損失を避ける苦痛」の方が強く感じるとされています。そして、限定品を買い逃すことは、その商品を得る機会を「失う」ことと認識されます。その結果、この損失を避けたいという強い感情が、衝動的な購入を促します。

社会的証明としての価値

 限定品は、しばしば他の多くの人も欲しがっていることの「社会的証明」となります。たとえば、「残りわずか」と表示された商品は、人気があるからこそ数が減っていると解釈されます。そして、人は他人と同じ行動をすることで安心感を得る傾向があります。そして、人気があるものを手に入れようとします。

具体的な例

  • 「期間限定」と「数量限定」
    • 期間限定は、時間の希少性を強調します。「今しか手に入らない」という心理が働きます。そして、これは焦りを生み出します。また、数量限定は、物の希少性を強調します。「もう二度と手に入らないかも」という心理が働き、所有欲を高めます。
  • オークション
    • オークションでは、競り合うことでその商品が唯一無二の価値を持つと認識されます。また、他の入札者がいるという事実が希少性を高めます。そして、ヒートアップして本来の価値以上の価格で落札してしまうことがよくあります。
  • 「残りわずか」の表示
    • ホテルの予約サイトで「残り1部屋」と表示されると、焦りを感じて予約を急いでしまうことがあります。しかし、実際にはまだ空室があるかもしれません。

 これらの例からわかるように、希少性ヒューリスティックは、私たちの感情や本能に訴えかけることで、冷静な判断を狂わせる強力な心理作用です。

希少性ヒューリスティックと脳

 希少性ヒューリスティックの裏では、脳が報酬損失回避を司る部位を活性化させています。そして、限定品を価値あるものと認識するよう働いています。特に、側坐核(そくざかく)や扁桃体が重要な役割を果たしています。これらの内容について以下に説明します。

報酬系の活性化:側坐核の働き

 側坐核は、快感や報酬を感じる報酬系の中心的な部位です。新しい情報や刺激に反応し、ドーパミンという神経伝達物質を放出します。

  • 希少性情報の認識: 「残りわずか」や「数量限定」といった情報は、脳にとって特別な刺激となります。そして、この情報が側坐核に伝わると、「これは手に入れる価値がある特別な機会だ」と判断され、ドーパミンが放出されます。
  • 「欲求」の生成: ドーパミンは、私たちにもっと欲しいという強い欲求を生み出します。希少なものを手に入れることが快感につながると学習されます。そのため、この欲求が衝動的な購買行動を促します。

損失回避の心理:扁桃体の働き

 扁桃体は、恐怖や不安、危険といった感情を処理する部位です。希少性ヒューリスティックにおいては、損失回避の心理を司る役割を果たします。

  • 「逃すことへの恐怖」: 期間限定商品の買い逃しは、扁桃体に「利益を失う」脅威と認識されます。これにより、将来的な後悔や不安(「あの時買っておけばよかった」)を避けるために、いますぐ行動するように脳に指令を出します。
  • 冷静な判断の妨害: 扁桃体が活性化すると、論理的な思考を司る前頭前野の働きが一時的に抑制されることがあります。これにより、冷静に「本当に必要か?」と考える余裕がなくなり、感情に突き動かされるまま行動してしまうのです。

まとめ

 ここまで希少性ヒューリスティックについて、ヒューリスティックが働く理由、具体例、そして、脳内での処理について説明しました。そして、希少性ヒューリスティックは、希少なものほど価値が高いと感じる心理傾向であることを説明しました。具体的には、「残りわずか」や「数量限定」という商品に対して、希少性ヒューリスティックが働きます。

 そして、希少性ヒューリスティックにより脳内のおくつかの領域が活性化されています。つまり、側坐核の「手に入れたい!」快感と、扁桃体の「逃したくない!」恐怖が生じます。そして、この二つの感情が同時に働くことで、私たちは冷静な判断力を失います。そして、限定品を過大評価してしまいます。

 希少性ヒューリスティックを調べてみて、もともとの希少性が何となく影響しているという感覚の理由が明らかになりました。希少なものほど価値が高いと感じる心理傾向や脳内での側坐核や扁桃体が裏で働いているという事実を知ることができました。

 

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